埼玉大学では、第2期中期目標期間以降、「知の府」としての基盤強化を図るため、人文社会系・理工系・教職系人材育成機能強化と大学としての研究力強化に向けて改革に取り組んできました。第3期中期目標期間においては、これまでの成果を基礎としつつ、人文社会系・理工系・教職系全ての教育研究組織が首都圏埼玉の1キャンパスに集まり、留学生、社会人学生を含めた多様な学生が共に学ぶことのできる本学の強みを最大限に活かした、学問領域や組織の枠を越えた連携を推進し、更なる機能強化を図ります。
 ここでは、上記の機能強化の取組について、「大学の普遍的な知の府としての「基盤強化」と、地域活性拠点として首都圏埼玉に根ざした埼玉大学の「個性化」の2つの軸に基いてご紹介します。

  • 機能強化の2つの軸
1.埼玉大学の基盤強化
「学部の枠を越えた再編・連携による大学改革~ミッションの再定義に基づく研究力と人材育成の強化~」
(平成25~平成30年度)

 大学改革への期待や社会的要請が高まる中、埼玉大学では、本学の強み・特色を最大限に生かした機能強化について学内議論を重ね、すべての学部・研究科を巻き込むトータル・パッケージとしての改革プランをまとめ上げました。それがこの「学部の枠を越えた再編・連携による大学改革~ミッションの再定義に基づく研究力と人材育成の強化~」です。
 本改革では、強みを有する研究分野への資源集中による『埼玉大学の研究力強化』、組織の再編や入学定員の大胆な見直しによる『理工系人材育成の量的・質的強化』、『人文社会系人材育成の質的強化』、『教員養成の質的強化』を改革の4本柱に掲げ、大学としての研究力の抜本的強化と各学部・研究科における人材育成機能の戦略的強化を図ります。
 この改革プランは、大学改革の先導的モデルとして文部科学省から高く評価され、「平成25年度国立大学改革強化推進事業」に採択されました。
 
2.埼玉大学の個性化
「埼玉大学 All in One Campus at 首都圏埼玉~多様性と融合の具現化~」(平成28年度~)

 平成28年度からスタートした第3期中期目標・計画期間では、これまでに得られた成果をもとに、改革をさらに加速させるため、6年間の新たなビジョン「埼玉大学 All in One Campus at 首都圏埼玉~多様性と融合の具現化~」を掲げました。強み・特色ある戦略的研究と融合科学研究により研究開発・教育拠点を形成するとともに、PBL(Project-Based Learning)型文理融合教育によりイノベーティブでグローバルな人材を育成して首都圏埼玉を活性化、日本および世界に貢献することを目指し、3つの戦略のもと11の取組を進めます。

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戦略1 戦略2 戦略3 取組1 取組2 取組3 取組4 取組5 取組6 取組7 取組8 取組9 取組10 取組11 取組12 取組12 戦略1
  • 戦略1

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  • 取組1 文理融合教育プログラムの構築  
     首都圏地域が直面する急速な高齢化の進展や地域経済の活性化の課題をはじめとして、単独の学問領域内では解決できない複雑な現代的課題が増加するとともに、その解決を担う人材の育成が急務となっています。こうした新しい人材育成ニーズに応えるため、人文社会系・理工系をはじめとした多様な学問分野と多様な学生が1キャンパスで学ぶ本学の特徴を活かし、文理融合教育プログラムの構築を進めます。
     平成30年度に予定している工学部改組では、工学系教育の抜本的改革を行い、課題の設定から課題解決、社会実装に至る一連のプロセスに異分野協働で取り組む人材を育成するため、学部横断のプログラムを導入し、イノベーションの創出に資する工学系人材の育成を目指します。
     
    取組2 学内外協働による社会で活躍する理工系博士人材の育成機能強化
        ―自立する博士人材育成プロフェッショナル・プログラムの構築と実践―
     
     国内外の諸課題を解決するための方策として科学技術イノベーションの重要性が叫ばれる一方で、その重要な担い手である博士人材が不透明なキャリアパス等の問題から減少しつつあり、優秀な博士人材の育成と質の向上が喫緊の課題となっています。
     そこで本学では、研究者養成に留まらず実社会で活躍する理工系博士人材の育成機能を強化するため、第3期中期目標期間における重点的取組の一つとして「理工系博士人材の育成強化」を掲げ、「組織の充実」と「機能の充実」という2つの観点から以下の取り組みを行います。
    【組織の充実】
    ・企業人実務家教員(産業界・官界・金融業界等)の積極的登用
    ・修士・博士一貫コースの設置
    【機能の充実】
    ・日本人学生・留学生・社会人学生の混合PBL(Project-Based Learning)型実践教育を内包した「自立する博士人材育成プロフェッショナル・プログラム」の開設により、人文社会系の素養、産官協働の素養、グローバル的素養、自立力(総合力・企画力・統率力)を備えた実社会で活躍する理工系博士人材の育成
    ・企業人実務家教員を中心とした「キャリア支援プラットホーム」開設による博士人材のキャリアパスの確立
    ・企業人枠の設定による企業人の学び直し機能の強化
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    取組3 先端産業国際ラボラトリーの設置  
     埼玉県は平成26年度より、県内の研究機関、企業、金融機関との連携を図りながら、事業化を見据えた実用化・製品化開発、事業化のための融資や資金援助、県内集積までを一貫して支援する「先端産業創造プロジェクト」を推進しており、5つの重点分野(医療イノベーション、ロボット、新エネルギー、ナノカーボン、宇宙・航空)に係る先端産業の育成と人材、技術等の県内集積による地域経済の活性化を図っています。
     本学は、上記プロジェクトに開始当初から参画し、医療イノベーション、ロボット、新エネルギーの分野でプロジェクトの一端を担ってきましたが、今回、その連携・協力体制をより強固なものにするとともに、本学の持つ人的資源・研究資源をより一層地域社会に還元するため、学内外に開かれた組織として「先端産業国際ラボラトリー」を平成28年4月に設置しました。
     イノベーションの実現とそれによる地域活性化のためには、産学官金連携による事業化・起業までを見据えた実用化研究開発とそれを担う高度人材の育成が極めて重要であり、「先端産業国際ラボラトリー」は、これらの機能を一体的に担う組織として埼玉県における産学官金連携のインターフェイス拠点を目指し、以下の取り組みを実施していきます。
    【主な取り組み】
    ・共創型ワークショップスペース
    ―企業や研究機関と連携した共同研究、ワークショップ・セミナーの開催による人材交流など、業種、分野、学術領域などの既存の壁を越えて結集・融合する共創の場を提供することで産学官金共創ネットワークの形成・強化を図ります。
    ・先端産業インキュベーションスペース
    ―長期的な基礎研究から社会の要請に応える応用研究まで創造性豊かな研究開発を行うとともに、産学官金連携により、地域特性を活かした新事業・先端産業の創出、実用化、事業化を目指します。
    ・国際連携研究開発スペース
    ―文理連携により、経営戦略・マーケティングなどを含めたグローバルな視点での産業技術動向調査を行うとともに、海外の連携研究機関との研究者の人事交流を実施することにより、国際的研究者ネットワークの構築を図ります。
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  • 戦略2

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    取組4 統合キャリアセンターSUの設置 
     埼玉大学は、これまでも地域課題の解決と地域人材の育成により首都圏埼玉の活性化を図ってきましたが、地域ニーズをより的確に把握し、さらに学生のキャリア形成を一貫して支援するためには、高等学校における多様な学習活動・学習成果を正しく把握するとともに、入学、学修、学生生活、就職活動、卒業までを体系的・総合的にマネジメントする体制が必要だと考えました。そこで、これらの体制を整え、地域ニーズに応じた人材育成と教員養成により一層力を入れて大学全体として取り組んで行くため、入口から出口までを総合的に支援する「統合キャリアセンターSU」を平成28年4月に設置しました。
     センターでは、
     ①県内企業のニーズに沿った人材育成と地方創生を担う「COC人材育成プロジェクト」
     ②一貫した教員養成・研修による教員の資質向上を目指す「教員ステップアッププロジェクト」
    の2つのプロジェクトを中心に据えて機能強化に向けた取組を進めており、5月には産官学コラボインターンシップを担当するスーパーバイザーを新たに配置するなど、人材育成を通した地域活性化拠点としての役割を果たすため、着実に体制整備を進めています。
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    取組5 教職大学院の設置と拡充 
     現代の学校教育が直面している複雑で新しい社会的要請に応えるためには、児童・生徒に育成すべき資質・能力についての深い理解や、課題探求的な学習活動の指導力、学校の諸課題への的確な対応力を持ち、社会の変化とともに学び続ける教員集団の中核として活躍する実践的探求力と課題解決力を持った高度専門職業人としての教員の養成が必要不可欠となっています。
     埼玉大学では、こうした社会の要請や地域のニーズに応えるため、現代の教育課題を効果的に解決するための実践を創出し、高度の教育実践力をもつ教員を養成することを目的として、教職大学院を新たに設置しました。
     教職大学院には以下の2つのコースを置き、教育現場での経験や学部での学修を基盤に、高度な専門性に裏付けられた理論と実践に基づく融合型カリキュラム、研究者教員と実務家教員とがタイアップした指導体制と授業、教育現場における実地研究を埼玉県・さいたま市教育委員会と連携しながら整備・構築することで、埼玉県内の教員資質の向上に寄与します。
    ①「教育実践力高度化コース」
    ―教科指導における最新の理論と専門的知見に裏打ちされた高度な実践力と共に、組織マネジメントや人材育成、地域連携や危機管理等、学校経営の視点に立った高度な課題解決能力を身に付けることで教育の改革、充実を目指す諸活動のリーダーとして活躍できる人材を養成する。
    ②「発達臨床支援高度化コース」
    ―いじめ、不登校、発達障害への対応といった多様な教育的ニーズに対し、児童・生徒の認知や発達上の特性を的確に捉えた上で、適切に対応することのできる現代科学の諸理論と実践力を基にした高度な問題解決能力を身に付けることで地域・学校においてリーダーとして活躍できる人材を養成する。
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    取組6 教員養成の高度化による地域の人材育成基盤の強化
        ―教員ステップアッププロジェクトの構築と実施―
     
     人材育成の中核を担う学校教育の充実のためには、その担い手である教員養成の質的向上が不可欠です。埼玉大学では、平成28年4月に新設した統合キャリアセンターSUを中心として、教員養成の高度化と地域の人材育成基盤強化に向けた「教員ステップアッププロジェクト」を推進し、地域ニーズに則した教員養成に力を入れて取り組んでいます。
     具体的には、以下の3つのプログラムを構築することで、高度な科学的、国際的素養を有する教員の養成し、地域の人材育成基盤の強化に寄与していきます。
    (1)高度教員養成特別プログラム【学内組織の連携】
     ・理科教育力ステップアッププログラム(学生向け、現職教員向け)
     ・グローバル化対応力・英語力教育力ステップアッププログラム(学生向け、現職教員向け)
     ・情報収集・分析能力、課題対応力ステップアッププログラム(学生向け、現職教員向け)
    (2)現職教員等実践力養成研修プログラム【教育委員会等との連携】
     ・教職に関する実践力の基礎力養成プログラム(学生向け)
     ・キャリアステージに応じた実践力養成研修プログラム(現職教員向け)
    (3)教職課程教員指導力向上研修プログラム【埼玉県総合教育センターとの連携】
     ・学校現場体験を含む実践的研修プログラム(本学教員向け)
     ・教育課題に対応した研修等の実施プログラム(本学教員向け)
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    取組7 「主体性・協働性」評価を活用した新特別選抜試験の開発 
     現行の大学入試については、知識の多寡など測定しやすい一部の能力や選抜時点での能力の評価に留まり、「高校教育で培ってきた力」や「大学教育で必要な力」を評価するものとなっていないと指摘されています。 そのため、高校生の能力、適性、興味、関心等の多様化を踏まえた「多面的・総合的な評価」による入学者選抜試験の導入を目指し、「主体性・協働性」を重視した多様な学習活動・学習成果についての評価方法の研究を行い、新たな特別選抜試験の開発を行います。
     具体的には、既に実施している「高大連携公開講座」(H18~)、「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援」(H24~)、「ハイグレード理数教育プログラム事業(HiSEP)」(H23~)及び「埼玉大学ハイグレード理数高校生育成プログラム事業(HiGEPS)」(H27~)などの実績をベースとして教育企画室が高等学校と連携して実施する高大接続プロジェクトを活用し、 実施時期や実施場所・実施方法等について工夫・改善を図り、夏季集中講座方式や出張講座方式を導入することで高大連携公開講座協定校、スーパーグローバル・ハイスクールの生徒のほか、広く地域から多くの高校生が参加可能となるプロジェクトをアドミッションセンターと教育企画室が協働して開発するとともに、プロジェクトにおける活動状況等に基づく「多面的・総合的な評価」方法を研究し、新たな特別選抜試験の開発を図ります。
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  • 戦略3

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    取組8 理工研戦略的研究部門での国際研究推進 
     首都圏産業の持続的発展のためには、コスト競争とは無縁の追随を許さない独創的イノベーションが必須となっています。そんな中、埼玉大学では、首都圏地域の科学的、技術的、そして社会的に重要な課題を定めるとともに、強みを有する研究分野への資源集中による研究力強化を図るため、理工学研究科に戦略的研究部門を平成26年に新設し、「ライフ・ナノバイオ領域」「グリーン・環境領域」「感性認知支援領域」の研究を重点的に推進してきました。
     本取組では、 上記の戦略的研究のうち、比較的独創性が高い研究を推進し、首都圏に適した知識集約産業としての展開が期待され、8か国の研究拠点と連携を進めてきた「ライフ・ナノバイオ領域」の研究を試行課題として、国際連携を強化・充実させ、グローバルな異分野集約研究を通して、応用展開の期待が高い研究成果の獲得を目指すとともに、国内外の連携地域をグローバルネットワークで繋ぎ、地域相互の発展を支援する機能を持つ大学へ自己改革を進めます。      
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    取組9 理工系学部・研究科の強化 
     幅広い視野と課題解決能力を備えた社会的要請に応える理工系人材育成の量的・質的強化のため、平成26年度から大学院理工学研究科博士前期課程の学生規模を段階的に見直し、平成28年度には当初の入学定員から100名増員しました。今後は、理学部・工学部学生の大学院進学率を8割程度に向上させ、修士の学位を有する専門性の高い技術者を多く社会へ送り出すことを目指し、6年一貫の教育プログラムの構築、現行の理学部5学科、工学部7学科の組織の見直し(学科の大括り化)を行うなど、理工系人材育成に最適な組織再編を進め教育・研究指導体制の強化を図ります。また、PBL(Project-Based Learning)型の教育・研究や同一キャンパスにある他学部との連携による文理融合教育を推進することで、より広い視野を持ち、課題解決能力を持った世界で活躍するイノベーション人材を育成します。
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    取組10 Lab-to-Lab国際プログラム 
     新しい産業を創出し得る人材の育成には系統的な専門知識の蓄積だけでは不十分であることに鑑み、埼玉大学では強化戦略の一環として、専門知識蓄積に優れる既存の系統的大学院教育プログラムを発展させ、学部・大学院間、および異分野間をシームレスにつなぐ文理横断型6年一貫教育プログラムを平成26年度より導入しています。
     本プログラムでは、この一貫教育の導入を前提として、意欲と能力の高い大学院生を中核とし、社会が要請するイノベーションの創出に必須である科学的戦略能力の体系的な獲得を支援する、以下の2種類のサブセットプログラムを起動します。これらの実践プログラムで育まれた学生を中心とした、学内異分野連携によりイノベーション創出基盤を充実させ、理工学研究科における科学的創造性の高い教育システムの構築と実践を図ります。
     
    (1)戦略構築力涵養プログラム
     新技術・新組織創成の過去事例を、学生自身が聞き取り分析し、研究統括の決断と戦略を理解し、自身の将来設計・海外コラボの実施計画を自ら策定する。
    (2)国際化対応力鍛錬プログラム
     教育環境と文化の異なる国外研究室と、教員相互で教育目標を精査して、学生の派遣・受入をおこなう。戦略構築能をもつ学生自身が、自分で学び、自分で考え、世代と国境を越えるチームを作り、課題を解決する力を育てる。
         
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    取組11 「多文化キャンパス創造」プロジェクトの構築とグローバル・コア・センターSUの設置(平成31年度) 
     社会の急速なグローバル化が進展する中、グローバル化に対応した人材の育成は大学にとって重要なミッションとなっています。そこで本学では、留学生の派遣・受入体制の一層の強化を図り、外国人留学生及び海外派遣日本人学生を増加させ、分野、国籍、文化背景、習慣、年齢、経歴等を異にする多様な学生の交流を促進することで「多文化キャンパス」を創造し、グローバル人材を育む環境整備を戦略的に進めていきます。本取組により、グローバルな感覚を身に付けた日本人学生、日本社会への理解を深めた外国人留学生を育成し社会へ送り出すことで、 国際化が進む首都圏地域の活性化に貢献します。
      また、上記の施策と並行して、大学内におけるグローバル人材育成の取組を一元的に担い、多文化キャンパスのハブ機能、国際化推進のマネジメント機能を有する「グローバル・コア・センターSU」の平成31年度設置を目指し、取組を進めます。      
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    取組12 学部の枠を越えた再編・連携による大学改革
         ―ミッションの再定義に基づく研究力と人材育成の強化― (国立大学改革強化推進事業)